「着物・和裁士としてのプロになるために」

訓練校名

勝矢和裁職業訓練校

訓練科名 裁縫系和裁科
氏名中野 理美・猿吉 弥紗

勝矢和裁職業訓練校 中野 理美さん・猿吉 弥紗さん
中野(左から2人目)、猿吉(同3人目)

1. 訓練の概要

入校後は、和裁を習得する上で「和裁知識」「実技」を学びながら進捗すると和裁の基礎部分が習得されます。

特に「実技」で大切な4つの基礎訓練を行います。

1つ目は「糸なし運針」です。針に糸を通さずに運針し、手の動きを覚えます。

2つ目は「糸あり運針」です。糸を通した針で運針し、一寸八目で真直ぐ縫えるように訓練します。

3つ目は「三つ折りくけ」です。くけ目の大きさや間隔が均一になるよう訓練します。

4つ目は「本くけ」です。輪になった二つの布と布の間をくける方法で、くけの間隔と表までくけ目が飛び出てしまわないよう訓練します。

それぞれに設けられている目標時間を達成出来るようになると、和裁の基礎部分である着物の下に着る長襦袢のお袖から実技に入ります。

カリキュラム後半では縫えるだけではなく、自分で着られるよう「着付け」も組み込まれています。

2. 社会人になって感じていること

社会は厳しいと申しますが、今まさにその事を痛感しています。計画を立てていても、生地との相性や思わぬミス、その日の体調等によって多少のズレが生じます。私達の場合、計画より進む場合はほとんど無く、計画より遅れてしまっている場合が多くあります。しかし、計画が遅れたからといって、その度に大変落ち込むのですが、一日でも速く縫えるようになってくれることが自身の為と励ましてくれる同僚先輩方の言葉を励みに、日々努力していきたいです。

3. これから技術・技能の世界で実現したい夢や自己挑戦したいこと

将来、独立し、自宅で仕事をすることを目指しています。

独立するからには、1人で裁ち、ヘラ、縫製が出来るだけの知識と経験、技術が必要です。

その為に1年間訓練期間中に「和裁基礎」をしっかり身に付けます。

国家試験合格は必須なので目標とし必ず取得いたします。

4. 訓練生の間に何を習得し、身に付けようとしているか

国家資格取得が近い将来の目標なので、基礎固めをしっかりいたします。

その為には時間を縮める事も必要ですが、丁寧な仕事をするということは忘れずにしたいです。

お客様にとっては最初で最後の着物かもしれないということを心に置き、綺麗な仕上がりの着物をスピーディにお仕立て出来るようにしていきたいです。

5. 訓練での挑戦

長襦袢の居敷当(補強のために裏側から当てた布)や、脇くけがよくかぶる≠ニいう状態になってしまいます。かぶる≠ニは表側の布と裏側の布がきちんとあっておらず、くけた後どちらか一方の布が盛り上がってしまっている状態の事をいいます。この状態は勿論駄目なので直す必要があります。

指導員の先生に相談したり、実際の場面を良く見たりし、まち針打ちの時点で1度確認するようにしました。そしてきちんと打てたまち針を、縫っている途中で打ち直す事の無いように気を付けています。

まだかぶってしまうこともありますが、徐々に少なくなってきているので、この調子でかぶる事が無くなるようにしたいです。

6. いつも指導員から言われていることで、自分が大事にしていること

しっかり計画をたて把握し、指導員の言われることを、しっかり理解し、常に意識し、間違いないよう集中し進めること。さすれば、能力アップにつながる。

社会は人の繋がりがあってこそですので、挨拶・返事をきちんと相手と向き合ってすること。

また、笑顔を忘れずに、それが「感謝」の気持ちを表現できます。

ミスをしても、すぐに立ち直れるような「タフな気持ち」を持つように。

7. 他校の訓練生へのメッセージ

挑戦を繰り返しても出来ない事があり、努力しても結果が無ければ認められない中で、悔しさや歯痒さなどで涙がでてしまう事も多くあります。それでも続けているのはプロの和裁士になりたいという強い気持ちと、厳しさと優しさで周りの方たちが支えて下さっているからです。まだまだ上手くいく事の方が少ないですが、後輩が出来た時に頼れる先輩になっていられるよう、共に励みましょう。

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